ムリ・ムダ・ムラをなくすことで
充実した手術室運営と安全性を担保できます。


DPC制度でも出来高算定できる手術は、病院収入に占めるウェートが大きいと思われます。
設置されている医療機器・設備や使用する医療材料も高価なものが多いにも実情です。

2022年度診療報酬改定では「短期滞在手術基本料」の見直しが行われ、対象手術が大幅に増加するなど、手術室におけるマネジメントの重要性は必要と考えられます。

術前術後の流れや多種職種連携で総合的なマネジメントを。

短期滞在手術は2022年度診療報酬改定で見直しされました。

2022年度診療報酬改定では、短期滞在手術基本料の見直しが行われました。日帰り手術の評価では、麻酔科医の配置に関する要件の見直しと、麻酔を伴う手術の実施状況を踏まえて、適切な評価を実施する観点から、見直しが行われました。

改定前は「短期滞在手術等の基本料にかかる手術が行われている日において、麻酔科医が勤務していること」であったのに対し、改定後には「短期滞在手術等基本料にかかる手術(全身麻酔に伴うものに限る)が行われている日において、麻酔科医が勤務していること」に改めました。
全身麻酔を必要としない手術の日にも麻酔科医を必須としていた改定前の要件を実態に即して緩和されました。

1泊2日の手術・検査についての包括評価では、診療現場では1泊2日よりも長期間の治療が必要なケースが少なく、ほとんど算定されていなかったことから、その状況を踏まえて評価が廃止されました。

周術期における多職種連携の推進

チーム医療、タスクシフト・シェアを推進する流れは周術期においても加速しています。
22年度診療報酬改定では、周術期の栄養管理、術後のチームによる疼痛ケア、薬剤師による周術期の薬物療法について、新たに設けられました。

周術期における適切な観点から新設されたのが、「周術期栄養管理実施加算(270点)」です。全身麻酔下で実施する手術を要する患者に対して、医師と管理栄養士が連帯し、患者の栄養状態を把握し、術前・術後における適切な栄養管理を実施した場合に算定できる「総合入院加算に係る届出を行っている保険医療機関であること」が施設基準の一つとなっており、今後の急性期病院として、機能を発揮しようと考えている医療機関にとって、周術期の栄養管理は不可欠となっていくと考えられます。

続いて、術後の患者に対する高い疼痛管理を推進する観点から、新たに設けられた「術後疼痛管理チーム加算」です。全身麻酔下手術を行った患者に対し、麻酔に従事する医師を中心とした多職種で構成されている術後疼痛管理チームが疼痛管理を実施した際に算定できる。

薬剤師による薬学的管理については、麻酔管理に「周術期栄養管理加算(75点)」が新たに設けられました。手術室の薬剤師が病棟の薬剤師と薬学的管理を連携して実施した場合の評価です。周術期の薬学的管理を行うのに必要な専任の薬剤師が配置されていることなどが施設基準となっています。

このように術前・術後における多種職種によるケアを充実させることで、手術の質を高め、早期退院につなげていくことが重視されていると言えます。

手術室の総合的なマネジメント

さまざまさな多職種がかかわると同時に、質の向上だけではなく生産性の向上についても取り組んで行くことが必要だと考えてます。

手術室看護要員の1人あたりの手術件数は2020年は0.4件でした。この数値は16年から変化がございません。病床数別に見ても同等と言えます。この数値だけでは生産性を語るのは困難ですが、少なくとも看護師1人がかかわる手術の件数を5年間で変化していないと言われています。

手術手技が多様化し、さまざまな職種がかかわるようになった今、手術当日のみならず、術前術後の流れ、かかわる職種を含めて、総合的に手術室をマネジメントしていくことが重要だと考えています。